最近思い出した記憶がある。
それはこんなものだ。
物心ついた頃、母に爪を深爪寸前まで切られる恐怖。
お風呂で体をがしがしとこすられ、肌が冷たく感じるほどヒリヒリする痛さ。
「他人は何をするかわからない」
幼い私はそう感じていたのだろう。
私が人を信用するのに時間がかかるのは、こうした経験のためだと思う。
お風呂で擦られるとき、「痛い!」と訴えたこともあるが、目の奥が笑った顔で「え?痛かった?」と返される。
もう過去のこと、済んだことなので、当時の記憶は少しずつ癒されている。
自分でも積極的に癒している。
今は亡き母は24歳で私を生んでいる。
マインド的にいっぱいいっぱいだったんだろう。
病的なほど…いや、おそらく病的に…神経質な人だった。
今で言うと虐待に当たる行為を私にしていた。
一方、ピアノを2歳から習わせてくれるなど、私の魂の本質に気づいてくれている面もあった。
とても不思議な、学びの多い親子関係だった。
亡くなってずいぶん経つが、時々母の気配を感じる。
先日も鏡台に座りながら母のことを思い出していたら、鏡台のライトがふぅっと息を吐くように消えた。
母が来たな…と感じたので、いつもの言葉を伝えた。
「お母さん、私を生んでくれて、殺さずに育ててくれてありがとう。ピアノのことも感謝してます。どうぞ幸せにすごしてください。」
母と過ごした日々は、本当に深い学びだった。