2017年6月11日(日)に開催した定期演奏会について
昔からのブロ友さんが記事にしてくださいました
聴きに来てくださっただけでも嬉しかったのですが
暖かいお言葉とドラマティックな描写で記事にしてくださり
私のほうが感動してしまいました
そこで
ブロ友さん(ファブリスさんとおっしゃいます)の許可を得て
当ブログに転載させていただくことにしました
ファブリスさん
本当にありがとうございました
これからも感性を刺激し
感動を呼び起こす演奏をお届けできるよう
精進してまいります
********(以下転載)********
帰りの電車を待ちながら、ふと思いました。
行くときは夏本番の猛暑で朝から疲れ気味だったのが、今は、なぜかとても
心地いい。夕方から少し涼しくなったというだけではないようです。
きっと、今まで聴いていた演奏のパワーなのかもしれないと思いました。
わたしが前ブログを書いていた頃、ひとりの音楽家に友達になっていただきま
した。その方、内藤優花音さんは、ピアノや室内楽の演奏活動をされていて、記
事にも、つどつど演奏会の様子を記されていました。2011年のことだからもう6
年近く前になります。
当時から、トリオ演奏やピアノソロコンサートの記事を拝見して一度は聴きに
行きたいものだと思っていました。その後、その気持ちをいっそう掻立てたのは、
時々記事に載せられる写真アート、自作のオリジナル作品でした。音楽や演奏に
対する想いなどを綴った記事にもとても共感できました。
しかし、コンサートとわたしの上京の日程がなかなかぴったり合わないうちに
何年も経ってしまっていました。
それがとうとう聴く機会に恵まれました♪
今回の演奏会は、宇宙をテーマに開催されるということで、タイトルも
「宇宙を感じる演奏会」です。この演奏会に向けての準備や思いを記事で読んで
いると、こちらもいっしょに準備をしているように思えます(笑)
開催地の西国分寺は初めて足を延ばした地でした。とても住みよさそうな街で
す。結構都心から離れているようで電車だとあっという間です。
優花音さんには初めてお目にかかり、ご挨拶させていただきました。
わたしがブログのアバターにそっくりだということで、すぐにわかられたそう
です(笑)。若さだけは異なりますが(笑)
演奏会始まりのチャイム代わりに、かねて用意されていた音叉を鳴らしながら
優花音さんが登場。
手作りのプログラムに沿ったトークの始まり。プログラムがまず魅力的です。
よくあるほとんど広告で埋め尽くされているようなものとは違い、内容すべて
が演奏会の志向する世界へ誘うための扉~表紙の自作写真から、テーマを宇宙に
した理由、地球や星や月や太陽の資料~でした。それを曲が始まる前に一つずつ
語って行かれます。よく調べられ鏤められた資料を基に平易に優しく語られます。
曲は、プログラム中ほどの2ページに見開きで、ぐるっと円を描くように並べ
られ記されていました。背景が星雲で、それに合わせるように渦巻き状に曲も記
されています。文字だけが機械的に並ぶプログラムよりもよほど味わい豊かです。
会場では、話→曲→話→曲と交互に進んでいきますが、演奏だけをまとめると…
第1曲目は、シューマンの幻想小曲集から「飛翔」です。
壮麗で、演奏会の導入に相応しい曲でした。
地上から天空に舞い上がるような華麗な演奏で、一気に盛り上がります。
第2曲目は、ラフマニノフが2曲。10の前奏曲作品23から3番と5番。
大地のエネルギーを感じさせるパワフルで自然の息吹も伝わる曲でした。
優花音さんの演奏は、透徹した響きを聴かせる一方、すごい技巧の冴えとパッ
ションで早くも会場に、地球のエネルギーを引っ張り込んだようでした。
雰囲気変わって、3曲目はモーツァルトのきらきら星変奏曲。わたしたちの視
点は大地から天空高く星に移ります。その名のとおり、星の姿が澄み切った大空
に見えるように、演奏も端正で、時にモーツァルト特有の翳りをさりげなく描い
て秀逸でした。
でも、次の、大作曲家の作品の合間に置かれた優花音さんのオリジナル曲であ
る「月明かり」はさらに素敵でした。
冒頭から心に飛び込んでくる旋律に魅了されます。
シンプルでビューティフルという形容がぴったりで、同時に日本人の感性も刺
激するような歌心も持った佳品です。
ここでは優花音さんもより気持ちをこめて音を紡ぎ出しているように感じられ
ました。後で思い起こすと、この曲がいちばん感動的だったと思います。
魂に響くような曲であり、演奏でした。
そうは書きながらも(笑)、前半最後のドビュッシーの月の光も素敵な演奏です。
ブログで一部聴かせてもらっていましたが、やはりスピーカーと実演では音の
響き自体が異なり、繊細で微妙なニュアンスの表出が実に素晴らしい演奏でした。
淡い月の光が聴衆を包み込むような感じでした。
休憩をはさみ、後半は、バルトークのミクロコスモスから143番と144番。
この2曲、わたしにはとっても優花音さんに似合っている曲に思えました。
優れた技巧ときらめく感性で曲の持つ独特の響きや音色が絶妙に描き出され、
神秘的な宇宙の雰囲気が会場に漂いました。
この2曲も宇宙というテーマにはぴったりでした。
続いては、ガラッと時代をさかのぼり、バッハです。
平均律クラヴィーア曲集第2巻から第18番。これはまたバルトークとはうって
かわって、音の宇宙に引きこむバッハならではの魅力を快適なテンポで弾かれ、
疾走する音の連なりの合間に時折顔を出す異空間から、宇宙の一端を垣間見たよ
うな錯覚に陥ります。フーガの緩やかな世界に移るとなおさら深淵な宇宙に彷徨
い出たように感じます。フーガを優花音さんは、深々と瞑想的に演奏されていて
圧巻でした。
いよいよ最後は、ベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」です。
ほんとはこの曲、この日いちばん楽しみにしていたのです。
月光は、わたしがいちばん最初に買ったLPの曲でもあり、これまで数多くの演
奏を聴きこんできたので、どんな演奏になるのかとても興味がありました。
たとえるなら、スーパームーンの光のような演奏とでも言うのが相応しい、
光に満ち溢れ、音の輪郭が明瞭で、温かみと表情の豊かな演奏に感じられました。
この日の演奏、前半ではオリジナル曲「月明かり」、後半ではこの月光が最高
だったかなと思います。
優花音さんの案内される宇宙は、不気味で不安なものというより、夢や浪漫の
溢れる天上の世界といった趣と、この日最後の曲を聴いて思いを強くしました。
少し前に行かれたという沖縄の大地から感じ取られたパワーやインスピレーシ
ョンがどの曲の演奏にも感じられました。
この日取り上げられた各曲は、それこそ宇宙の星々の如くそれぞれの光を発し
ていましたが、それを優花音さんが選び集めて素敵な語りでつなぎ、音の宇宙を
造り出して会場の人々と見事に共有されていました。
アンコールで演奏されたオリジナル曲も魅力に溢れたものでした。
今後、演奏会でのオリジナル全曲披露も大いに期待されますし、作曲活動の比
重や他のアーティストとのコラボも楽しみです。
次の演奏会もぜひ聴きたいものです。素敵な演奏ありがとうございました。
ホームに立つと、爽やかな風と優しい光を感じました。
いつになく、心地よいのです。
曲を通じて、宇宙を感じたからかな…演奏のいろいろなシーンが蘇りました。
素敵な6月のはじまりでした♪